ブログ《存在の痛みへの寄り添い》

ひきこもり問題はどこへ?

2024年07月12日 06:40

不登校やひきこもりが継続していくのは、

何らの改善、解決のための手が打たれて

いないからです。

何らかの対処がなされていたとしても、

全く的を外した対処になっているのです。

 


 

そのひとつが、病気でない状態を

病気と勘違いし、

「どうやって病院に連れていこう?」

「どうやって薬を飲ませよう?」

などとやきもきしている間に、

時間ばかりが経ってしまうのです。


 

 

精神科医の斎藤学氏は著書の中で、

『学校制度を支える教師たちの中にも、

学校に来ない子を見てあわてたり、

障害児と決めつける人がいて、

そこに過剰な心理療法主義に冒されて、

社会というものが見えなくなった

精神科医や治療者がそろうと、

現在の登校拒否問題の図式が

一応できあがります』(家族依存症)

と述べておられます。


 

 

心配事であれば、なんでもかんでも

精神医学的に捉え、

仕事、離婚、子育ての相談を

臨床心理士が承ります。

なんて書いてあるものを見かけることも

あります。

失礼ながら思わず笑ってしまいます。




独身の若いスクールカウンセラーに、

さすがに子育ては相談できない

と仰っていた不登校児童の母親も

いました。

最もな話です。

 

 


斎藤学氏は同著で、

『実際には、登校拒否などという病気は

存在しないし、その原因となる単独の

個人病理などは、身体的にも心理的にも

存在するわけではないのです』

とも述べています。

 

 


もちろん、発達障害などによる不登校や、

統合失調症、うつ病などの精神障害による

ひきこもりなどはあります。




それらは、いわば症状です。

ですから、「ひきこもり」という問題

ではなく、病気や障害の方が問題なのです。

 


 

病理の症状としての「ひきこもり」と、

病理以外の理由からの「ひきこもり問題」

を同列に論じることは、

「木を見て森を見ず」

枝葉末節に囚われ、本質、核心を外して

しまっている状態です。


 

 

病根を断たず、症状だけを抑える

対症療法では、やがて完治できない状態に

なるでしょうし、斎藤学氏も言うように

『むしろ治療の必要のない子たちが

入院させられ、向精神薬を服用させられ、

病院でしか暮らせない人になってしまう

ことの方が恐ろしい』(同著)のです。

 

 


もとより医者でない私が、なんらの

治療行為もせず、数年のひきこもり状態

から、社会へ巣立っていく青年たちを

数多く見てきた経験から言っても、

不登校、ひきこもりに対する現状の

捉え方は、危険ですらあります。

 


 

当事者対象の講演会や支援者対象の

研修会でも、講師として発言している

のは、あらかた精神科医か臨床心理士

といった医療関係者です。




病理性のある対象者(患者)しか継続的に

関わっていない治療者の説明では、

不登校にしろ、ひきこもりにしろ

その大半は、自ずと病気になってしまう

のは当然です。


 

 

やはり精神科医を講師とした

ある支援者研修会では、

〈ひきこもり問題と精神医学的診断〉

として、次のように解説されました。


 

 

○基本的に、すべてのケースはいずれかの

診断カテゴリーに分類される

(何らかのメンタルヘルス問題を抱えている)。

○このことは、すべてのケースが

精神科医療の対象であることを意味しない。

また、ひきこもりが個人の精神病理に

よってのみ生じているという意味でもない。

○むしろ、診断によって医療以外の

さまざまな支援システムの必要性が

明らかになる。

 


 

「すべてのケースが精神科医療の対象

であることを意味しない」

と述べているにも関わらず、実際の解説は、

各種診断結果による症状、障害の事細かな

解説であり、おまけに参加支援従事者から

も、「発達障害の子をどう支援すれば

いいでしょうか?」

といった質問が出され、ひきこもりの

研修会ではなくなってしまっているのが

実状です。


(続く)





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家族心理教育コンサルタント 中光雅紀

ひきこもり・不登校相談

なぜ起こったか、原因は何か、何から始めたらいい

のかを具体的にアドバイス致します

https://mbp-japan.com/fukuoka/search/area:40/genre:9:9009/

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